第12回 文具でみえる化
2016年になり、リオープンして12年目に突入する「つくし文具店」です。
これを言うと文具好きには、怒られるのかもしれないけど、
そもそも自分は、文具を好きなわけじゃないのです。
文具を詳しいわけでもないし、文具を集めているわけでもありません。
たまたまの成りゆきで、おふくろのあとを継いで、文具店をやっているだけです。
それでも、つくづく文具店でよかったと思うし、文具の可能性を日々感じています。
文具を使えば、もっといろんなことができるはずだと本気で考えていたりもします。
もっと本格的に、文具の可能性を試してみたいと思っているのです。
今年5期目となる「ちいさなデザイン教室」のテーマは、「みえる化」です。
見えないものを、見えるようにするのは、デザインが得意とするところ。
そして、そこに文具の活躍の場があるとにらんでいます。
えんぴつ、ボールペン、筆ペンといった書く、描く道具を使って、
ノート、便箋、メモといった紙に、文字や絵を描くこと。
頭の中にあること、あるいは偶然に、
そこに色や形が現れることで、コミュニケーションがはじまります。
手の動き、身体の動き、光の具合など、
動きをともないながら、「みえる化」していきます。
紙の上にどうバランスをとって、どんな大きさで何をかくのか。
それによって、伝わり方はずいぶんと違うはずです。
そして、平面を立体化することで、
さらに複雑な情報を伝えることができるかもしれません。
紙を、破く、切る、折る、丸める、束ねることで、
平面の紙がモノとして立ち現れてきます。
パソコンが文具の変わりをすることが増えたけど、
紙に手でかくことでしか成立しない何かがあります。
数字ではわりきれない、感触や匂い。
そこからイメージする新しい世界を感じてみたいのです。